2015年3月7日土曜日

玉泉院丸庭園(2)

玉泉院丸庭園(1)の続きで、庭園内をさらに紹介する。
池の中には三つの島と松坂に繋がる台地状の平坦地があり、それらは四つの橋で繋がっている。これらは、(1)で紹介した江戸末期の「御城分間御絵図(おしろぶんけんごえず)」とほとんど同じである。
背景となる石垣群や斜面は、高山や断崖を想像させる奥山の雰囲気を出し、滝周辺を上流の山あいに見立て、渓流から河口までの雰囲気を表現し、注ぎ込む池は海に見立て、海に浮かぶ島や岬、浜、岩礁などの雰囲気を表現しているという。






















「一の島」には、三つの反橋が架かっているが、兼六園の「虹橋」や「花見橋」を参考に、石橋、土橋や木橋など趣のある橋である。そして低い松が植えられ、現在は「雪吊」されているが、まもなく春のイメージにするためにはずされる。また島の中を散策できるように園路があり、傍らに石などが配置されている。




















松坂の台地から「一の島」に架かる木橋で、ここからは橋、島、築山、唐傘など変化に富んだ庭の構成が楽しめる。その向こうの方は天気がよければ「白山山系」の山並みが見えるという。


渓流から河口、海に落ちるように見立てた4段に落ちる滝があり、荒々しい岩間から流れている。




















江戸末期の絵図に載っている「露地役所」があった場所に、園内を一望できる休憩所(玉泉庵)がある。靴のまま気軽に出入りできる休憩室、靴を脱いでゆったりとくつろげる和室とがある。いずれも庭園や城郭にふさわしい落ち着いた佇まいの建物である。どちらからも三十間長屋から池までの立体感、石垣群や滝、島、橋、樹木などが一望できる。




















和室の大広間は20人くらい座れ、抹茶とお菓子を頂きながら美しい庭園を見て、くつろぐことができる。ここで景色を見ながら一日ゆっくり、のんびりしたいと思うが、後のお客さんが待っているから無理だ。




















また、二の丸へ上がる通路付近の高台には江戸時代の絵図にはないが唐傘があり、休憩場所となっていて、ここからも島や池、橋などを眺めることができる。兼六園の翠滝の傍らに立つ唐傘は、玉泉院丸から移設したという記述があり、ここの明治期の唐傘の写真などを参考にして作ったという。




















池の端には風流な木船が置かれていた。池は船を浮かばせて動かすことができる深さがあるようだが、どういう風に使うのだろうか?




















玉泉院丸庭園への入り口は、金沢の繁華街の香林坊、片町あるいは広阪の「しいのき迎賓館」に近く、便利な場所にある。
また、玉泉院丸庭園と尾山神社の間に明治時代まであった「鼠多門橋」の復元計画があるが、これができるとさらに観光スポットの回遊性がよくなる。




















北陸新幹線の開通日の3月14日から、ここ玉泉院丸庭園、金沢城公園や兼六園の夜のライトアップが始まるが、これもどんな風に見えるのか楽しみである。また後日に紹介したい。