2016年2月20日土曜日

「金澤町屋を学ぶ会」(3) 金澤町屋情報館(仮称)工事現場の見学

「金澤町屋を学ぶ会」(2)の続きで、「「金沢学生のまち市民交流館」を見学した後、こまちなみ保存区域の里見町」を見学したが、ここは後日、ゆっくり散歩したいので、そのときに紹介します。その後、茨木町にある金沢市指定保存建造物である「旧川縁米穀店」を修理して、「金澤町屋情報館」(仮称)として整備する予定の工事現場を見学した。ここは、江戸末期に建てられたもので、木造2階桟瓦葺の建物であったという.


























ヘルメットと軍手を着け工事現場の中に入った。ここで、市役所の担当者やここの設計者から現在行っている改修について説明を受けた。




















まず、地盤が軟弱なので土台が傾いていたので、全体をジャッキアップし、水平を出したという。そして柱も鉛直に調整し、傷んだ柱に新しい木材を接ぐ伝統技法の「金輪(かなわ)接ぎ」について、現物を見ながら説明してくれた。古い柱に新しい走れを接木するには「ウグイス」と呼ばれる竹釘を使い、代用に洋釘(鉄製)を使うと必ず錆びるので使わないという。


























また、タケとヨシを格子状に組んで壁の土台を作る「小舞(こまい)」についても説明を受けた。出来るだけ当初の工法を踏襲するという。




















その上に、職人が鏝で丁寧に土壁を塗る作業も見ることが出来た。


























元の状態をできるだけ復元しようということで、古い部材でも使えるものはできるだけ使うということであった。これは古い柱であろうか?


























玄関からすぐのところに土間があり、吹き抜けになっていて、明かり採りの天窓がついている。また、玄関には蔀戸がつけられていたという。




















2階の座敷の間であろうか、床の間、飾り棚や丸障子が入る壁があった。




















工事中は、隣の家に迷惑にならないように、幕が張られていたり、天井などが崩れないように支え棒などを作って、いろいろ配慮がなされていて、大変な作業だ。




















2階への階段が新しく作られる途中ものがあり、階段横には、昔の階段で見たことがある収納のための引き出しや棚が付けられるのであろうか?




















この「金澤町屋情報館」は今年の秋に完成の予定で町屋の活用や定住の支援するための情報発信の拠点となるという。総合窓口(改修・活用などに関する流通コーディネートを始めとする総合コンサルティング)、情報提供(整備事例紹介、人材紹介、物件紹介、講習会の開催など)、空間体験(伝統工法の特徴、再生整備のモデルとして見せる)、文化体験(茶道)、生活体験(イベント開催)などを行う。


























最近は、このような町屋を改修することが多くなっているが、一筋縄ではいかないことがよく分かった。しかし、金沢の観光資源としての町屋を今後もうまく活用していってもらいたいものである。