2016年6月3日金曜日

金沢の農業に尽くした人々(2) ふるさと偉人館 加賀野菜 

金沢の農業に尽くした人々(1) ふるさと偉人館の続きで、次に「加賀れんこん」は、栽培が始まったのは約300年前の5代綱紀のころだといわれているが、藩政期には薬用や冠婚葬祭で用いられる高価なものだった。しかし、日当たりが悪く、稲作に適さない場所の金沢の近郊の大樋町で栽培されるようになった。
明治20年ごろから蓮根の商品性が注目されるようになり、最初に蓮根栽培の有利性に着目したのが本岡三千治と表与兵衛で、本岡三千治は大衆免(だいじゅめ)村(現在の森山1丁目)の肝煎り(きもいり)の家に生まれ、当時県会議員を務めていたという。三千治は馬場から春日町にかけての地域で蓮田開拓を先駆けて手を付けた。与兵衛は小坂村の戸長(村長)を務めた人で、新しい品種の「浅根蓮根」を導入した。二人の尽力によって小坂地域一帯に蓮根栽培が広がっていったという。その後、三千治の養子である本岡太吉によって「枯れ知らず」という、当時の蓮根では最も病気に強く収穫も多い蓮根が導入され、ますます蓮根栽培が盛んになった。「加賀蓮根」の名前を命名したのは太吉によるものであるという。




















「加賀れんこん」は、節と節が短く、肉質がち密で雪肌のように白い。(下の写真は泥が付いているので黒い)煮物、酢の物、汁物、蒸し物などいろいろな料理ができる。私は特にれんこんの団子汁が大好きである。




















その他に、稲の新品種「大場」を発見した「西川長右衛門」について、説明があった。
藩政期末に。加賀藩では主要な年貢米として「巾着」という品種が栽培されていた。大場村の西川長右衛門も「巾着」を栽培していたが、1853(嘉永6)年にいつも通り田を見回っていた長右衛門は、これまで見たことがない稲穂に気付いた。「のぎ」という殻に針状の毛がない稲穂で、粒も大きく、数も多い稲穂だった。突然変異のこれを長右衛門は大事に育て、3年で田1枚に作付けできるようになったという。この新品種を村の名前と「のぎ」のない坊主頭のようなことから「大場坊主」と呼ばれた。「大場」は「巾着」より早く収穫でき、質、量とも優れていたので、新たな年貢米として広がった。「大場」はその後も品種改良が進められ、現在の「コシヒカリ」に繋がっているという。




















もう一人は日本で最初にホルスタインを輸入した「水登勇太朗」の説明があった。
藩政期には日本で牛乳を飲む習慣はなかったが、日本で最初に牛乳を販売されたのは1874(明治7)年で、明治12年金沢にアメリカ人宣教師のトマス・ウィンが来た。水登勇太朗はウィンから牛乳の必要性と搾乳技術を学び、明治14年に「金沢養し社」という会社を興し牛乳の製造を始めた。
大桑町に牧場を開き、国産の牛から牛乳を搾って病院を中心に納められていたが、1頭からはわずかしか採れなかった。勇太朗はアメリカにホルスタインという牛が多くの乳を採れることを知り、明治22年に日本で最初となる雄雌1頭づつのホルスタインを輸入した。他の品種も試したが、ホルスタインが最も良いということで、増やし続けたことにより石川県は日本一の生産量となり「ホルスタイン王国」と呼ばれるようになったという。
水登勇太朗は、また、動力織機を開発した津田米次郎に援助したことでも有名である。


ここで、「加賀野菜」について紹介する。「加賀野菜」とは、1945(昭和20)年以前からおもの金沢で栽培されている野菜で、15品目が認定されている。
先に紹介した「源助大根」、「打木赤皮甘栗」、「加賀つるまめ」や「加賀れんこん」の他に「加賀野菜」として下記のようなものがある。
「さつまいも」は焼いも、ふかしいも、天ぷら、お菓子の材料に使われる。五郎島・粟ヶ崎・大野・大徳などで栽培されている。




















「たけのこ」は、天ぷら、煮物がおいしく、穂先は和え物やお吸い物などに使われる。内川や富樫地区などが産地である。




















「加賀太きゅうり」は、やわらかく日持ちがよく、煮物や酢の物、サラダなどに最適。安原地区などは主な産地。




















「金時草」は、葉の裏が鮮やかな赤紫色で、ぬるぬるした独特の風味で酢の物などさっぱりと食べるのが一般的である。花園地区などが主な産地。「金時草のおひたし」は私も大好きである。




















「ヘタ紫なす」は、皮が薄く肉質が軟らかく、夏の一夜漬けは天下一品で私も大好きでご飯も進んでしまう。崎浦地区が主な産地。




















「金沢春菊」は、葉に切れ込みが少なく葉肉が厚い。香りの高い春菊は冬の鍋物に最適。主な産地は三馬地区。




















「くわい」は、その形状から「目(芽)が出る」と言われ、「めでたい」、「立身出世」、「子孫繁栄」など縁起食材として、正月の料理や祝い膳に使われている。




















「赤ずいき」は、茎がぬるりとした格別の風味で、酢の物でさっぱり食べるのが一般的だ。




















「二塚からしな」は、浅漬けにすると辛みがおいしい。料理をするときは過熱しないのがコツだそうだ。




















「金沢一本ねぎ」は、白い部分は、長く、柔らかい。薬味に鍋物に使われ、台所の常備菜で、特に冬場の煮物にした金沢一本ねぎの甘さは格別である。金城・富樫地区が主な産地。




















「せり」は、茎が細く、長くて細葉で、独特の香りは、他の野菜には負けない。鍋物、ひたし物、和え物、酢の物など食べ方はいろいろある。