2018年5月13日日曜日

鶴来巡り(2)武久商店 横町うらら館 菊姫 

鶴来巡り(1)の続きで、「飛騨屋」の1軒置いて隣に「武久商店」という、やはり「麹」を作っている古めかし町屋があった。



















ここは、「飛騨屋」とは違って店の前には商品が何も並べてなく、業務用専門でスーパーなどに「麹」を出している。店のおじさんが出てきてくれて「麹」についての詳しい説明をしてくれた。この人は若い時は別の所で働いて、60過ぎてから先代の跡を継いでやるようになったが、1人前の職人いなるまでに試行錯誤して納得いくまでには5年以上かかったという。その時の米の出来具合や 発酵させているときの、温度などの条件により随分品質が変わってくるという。
























ここの部屋の床をめくると、全国的にも珍しいという江戸時代からの石室があり、ここの中に長く保管して熟成させるという。こういうものがずっと残っているので、今でも品質の良い「麹」を作り続けているのだという。



















奥には、幕末に建てたものだという囲炉裏や高い天井に天窓と太い梁や柱がめぐらされている。最近は麹を使った肉、魚、野菜料理が見直され、私自身も昨日食べた塩こうじの焼き魚を食べたがいつもよりずっとおいしかったことや、レストランなどで麹を使った一味違った料理を出すことが多くなってきていおり、麹が見直されていることを言うと喜んでいた。
























さらに、その裏手の通りの角に江戸時代の大きな商家を改築した町屋「横町うらら館」がある。ここは、1832(天保3)年に建てられた建物で、現在は白山市の所有になっており、中が自由に見られ休憩できるようになっている。



















ここは江戸時代は、加賀藩の年貢米を管理する「蔵宿」をしていて、質屋、金貸しなど倉庫業と金融業ををセットしたような商売をしていたが、明治になって集配郵便局となり、その後町医者もやり、職業が変わるたびに建物の前の部分が変わったという。何しろこの大きさの家なので、かなりの財力があったと思われる。1階に10室、2階にも8室あり、2階の部屋の窓には、天保年間に建てたときに入れた赤いステンドグラスが、今でもある。囲炉裏のある茶の間やお座敷は紅殻色の壁の部屋や庭もある立派な部屋ばかりである。金沢でもこんなに大きな商家は知らない。



















通路には、「38豪雪」の写真が展示され、鶴来一帯は家々が孤立状態だったことがうかがえる。



















また、奥の蔵の中には、鶴来の「蓬莱まつり」の写真が展示されていた。ここ辺りの一番の祭りで、多くの人でにぎわい、終わった後でこの家の大きな部屋で、関係者が集まって 慰労会が催されるという。



















そこからすぐの所に、「萬歳楽」とともに「加賀の菊酒」として有名な「菊姫」の店がある。「菊姫」は、安土桃山時代天正年間(1570~1600年)に創業して以来酒造りを行っているという。その名前の由来は、白山ひめ神社の御祭神「菊理媛(くりひめ)」からであるといい伝えられている。
この建物自体も、看板や白い暖簾など古めかしい佇まいである。



















左隣には白い大きなビルになっていて、お酒の製造工場があり、全国的にも人気のあるお酒屋であることがうかがえる。



















ここで、「菊姫」についての案内冊子を頂いたが、立派な和紙で作られたもので、歴史やお酒の工程、お酒の商品やお酒についての解説などが描かれていて、お酒についてのいろいろな知識が得られる。
「山田錦」は、兵庫県三木市が発祥の地で、酒造りに適した「酒造好適米」の中でも特に良質の酒米で、「菊姫」は「山田錦」にこだわって使っているという。「山廃」とは、策作りの酵母を育てる「酒母」の作りに一つで、蒸米をつぶす工程を行わないのが「山廃酒母」であり、アミノ酸の旨みが多く残るという。